日本型BCGワクチンは、新型コロナに効く?
全世界で治療薬とワクチンの開発に全力で取り組んでいますが、この中で、「BCGワクチン(肺結核ワクチン)接種が新型コロナにきく」という話が出てきました。
日本型BCGで新型コロナの免疫ができる?(池田信夫)
http://agora-web.jp/archives/2045075.html
上記サイト(アゴラ)の内容を以下の通り抜粋すると共に、補足します。
まずは、世界のBCG接種状況と100万人あたり死亡率について。

世界のBCG接種状況(ReseachGateより)
>A(黄色)はBCG接種を義務づけている国で、死亡率が低い(人口100万人あたり死者1人以下)。
>B(青)はBCGの義務化をやめた国。BCG義務化をやめたスペイン(人口100万人あたり死者93人)と義務づけているポルトガル(死者6人)の差が印象的だ。
>C(赤)はBCGを義務づけていない国で、イタリア(人口100万人あたり死者136人)、オランダ(死者25人)、アメリカ(死者4人)。この傾向から考えると、アメリカの死者はこれから数十倍に増えるおそれが強い。
(以下補足)

BCGワクチン接種を義務付けている国と義務付けていない国では、死亡率の差が見られるというもの。

100万人当たり死者は、
①BCG接種を義務付けている国:ポルトガル6人
②義務付けていない国:スペイン93人、イタリア136人
都市国家のような小国とイランを除くと、死亡率のワースト10はすべてBCGを義務化していない国です、、、
また、上記サイトでは、JSatoNotesを引用してBCGワクチンの種類の違いと死亡率の違いについても言及しています。

JSatoNotesより
>ドイツは1998年にBCG義務化をやめて新しいタイプのBCG株を使うようになったが、図のように(ソ連から導入された)日本型のBCGを義務づけていた旧東ドイツ地域では感染率が低く(1万人中500人以下)、新型の旧西ドイツ地域では高い(1000人以上)。
東西ドイツの違いだけでなく、旧東ドイツの中にあった西ベルリン(米英仏管理地区)の感染率が高くなっていることも興味深いですね。
なお、上記サイト(アゴラ)では、(ソ連から導入された)日本型と記載していますが、厳密にはソビエト型(ロシア/ブルガリア型)というみたいですね。
>一見この地図と合わないのはBCGを義務づけているイラン(死者27人)だが、イラン製の特殊なBCG株を使っている。
>日本型のBCGを接種しているイラク(死者0.9人)とは対照的だ。
>BCGを義務化するかどうかよりも、日本型のBCG株がコロナに有効で、新しい株がコロナにきかないのかもしれない。
上記サイト(アゴラ)では、イランとイラクのBCGワクチンの違いが分かる図がなかったので、他のサイトから引用してみました。


独自のBCGワクチン(パスツール1173株)を使っているイランはグレー。
これに対し、隣国のイラクは水色で、日本と同じBCGワクチン(東京172株)を使っています。
100万人あたりの死者は、イラン26人、イラク0.9人となっています。
また、上記の地図の青い国はソビエト型(ロシア/ブルガリア型)のBCGワクチン接種国で、どれも死亡率が低い(人口100万人あたり死者1人以下)。
よって、日本型とソビエト型(ロシア/ブルガリア型)のBCGワクチン接種国では、死亡率が低い(人口100万人あたり死者1人以下)という事実が認められます。

新しいタイプの西欧型ワクチンを使っている地域の死亡率が、古いタイプの日本型とソビエト型を使っている地域の死亡率よりも高いというのは、皮肉ですね。
ただ、医学的にBCGワクチンの有効性が確認されたわけではないことは留意する必要があります。
↓
>医学的にBCGの有効性が確認されたわけではないが、世界各国で臨床試験が始まっている。
>「BCGでコロナの抗体ができるかどうかは疑問だが、人体への影響を弱めることは考えられる」
>疫学的な相関関係は完璧なので、偶然の一致とは考えにくい。
なお、上記サイト(アゴラ)に以下が追記されました。
>追記:NHKによれば、オーストラリアの研究機関が新型コロナウイルスに有効かどうかを確認するため、医療従事者4000人を対象にBCGの臨床試験を行うと発表した。
>これまでの研究では、類似したウイルスに感染した人にBCGを使うと、ウイルスの数を減少させる効果が認められたという。
オーストラリアの研究機関が使ったBCGの種類は分かりませんが、BCGワクチンを使うことで、新型コロナウイルスによる死者が減るのであれば、それは喜ばしいことです。
上記のNHKの記事の情報ソースを貼っておきます。
↓
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200327/k10012354671000.html
最後に、上記サイト(アゴラ)で、池田信夫先生は、以下の通り述べています。
↓
>日本人が集団免疫に近い状態にあることは十分考えられるので、どれぐらいの比率で抗体をもっているかを政府が抗体検査でサンプル調査する必要がある。
>それによって今後の防疫対策は大きく変わる。
日本で新型コロナウイルスの感染者が発見されたのは、1月の中旬ですが、その頃、日本人の半分近くが新型コロナウイルスに感染し、集団免疫を獲得するまで流行は続くという専門家の意見を見て、日本人が集団免疫を獲得するまで、いつまで掛かるんだろう?と思っていましたが、BCGワクチンの接種によりある程度の免疫が出来ている人が多いのであれば、重症化する人の割合も低くなり、流行が沈静化するのも遠い未来の話でもないかもと思いました。
日本国内の感染者数、死亡者数が少ないことに疑問をもつ海外の専門家も多いようですが、それは世界で突出しているCTスキャンを使ってPCR検査の対象者を絞り、効率的に検査・治療を行い、医療崩壊を防いでいること、そして、日本人の衛生管理がしっかりしていることだけでなく、日本型BCGワクチンの接種を義務づけていることも理由かもしれません。
日本型BCGワクチン接種国の死亡率が低いことは心強いですし、オーストラリアの研究機関の臨床試験で新型コロナにBCGが有効であるとの結果が出たことも心強いです。
我々は、BCGワクチンにも守られているのかもしれません。
・手洗い、うがい、咳エチケットの徹底
・人混みを避ける
・不要不急の外出の自粛
をこれまで通り実行し、感染者の増大を少しでも遅らせることに努めましょう!!