28年振りに独仏がW杯で激突
対決を前にググったら、両国がワールドカップで対戦するのは1986年のメキシコワールドカップ準決勝以来とのこと。
28年振りの対戦です。
そして、この時の西ドイツ対フランス戦が、俺が初めて1試合を通して見た(といってもテレビですが)ワールドカップの試合でした。
この時、俺は中学3年生。
ワールドカップの存在自体は、1982年のスペイン大会の後、少年ジャンプでワールドカップの特集をしていたことで初めて知り、1986年のメキシコワールドカップの予選は、新聞記事を読んでは、日本の予選突破を願っていた。
結局、1986年のメキシコ大会は、最終予選で韓国に敗れ、日本は出場出来なかったが、この時の悔しさと韓国を持ち上げる朝日新聞の論調への怒りは記憶に残っている。
そして、ワールドカップが始まったが、甲子園や高校サッカーの試合を見るように試合を見ていた訳ではない。
というか、リアルタイムどころか、試合のダイジェストを見たのも、準決勝の前だった。
準決勝の前に、テレビで準々決勝のダイジェストが放送されていて、これを録画して何度も見た。
イングランド×アルゼンチン、ブラジル×フランス、メキシコ×西ドイツなど。
テレビで放送された世界のプレーに俺は魅了された。
中でもイングランド戦でのマラドーナの5人抜きゴールには本当に興奮し、この時の準々決勝ダイジェストを見たことで、準決勝を前にして、俺はワールドカップに熱狂するようになり、準決勝の西ドイツ対フランスは絶対に見ようと思った。
準決勝の西ドイツとフランスの試合は、俺にとっては、第二次世界大戦のリベンジマッチと位置付けた試合だった。
ドイツは日本と同じ第二次世界大戦の敗戦国だが、ドイツにあっという間に降伏したフランスが、アメリカなどの力を借りて最終的に戦勝国となり、国連の常任理事国になっていることに、その当時の俺としては納得がいっていなかった。
なんちゃって戦勝国には負けられない!
戦争には負けたが、サッカーでは勝つ!ゲルマン魂を見せてやれ!
と、俺はドイツ人でもないのにフランスとの対戦に燃えていた。
当時のフランスには、プラティニという名選手がいて、事実上の決勝戦と後に言われたブラジルとの準々決勝では、PK戦の末にブラジルを破っており、下馬評ではフランスの方が有利だった。
西ドイツの方は、エースストライカーのルンメニゲが不調で、大会が始まってから得点を挙げていない上、準々決勝のメキシコ戦は、1人少ない状態を耐え、0-0の引き分けからPK戦で勝つという辛勝でフランスとの準決勝を迎えた。
どうしても西ドイツの試合とルンメニゲのゴールを見たかったが、試合開始が深夜のため、起きていることが出来ず、ビデオに録画して、翌朝に早起きして西ドイツ対フランスの準決勝を見た。
試合は、下馬評を覆して、前半9分にブレーメの弾丸FKで西ドイツが先制。
やった!ブラジルに勝ったフランスに先制した!
しかし、喜びもつかの間、この後、フランスの猛攻が始まり、西ドイツはフランスの攻撃に耐える時間帯が続く。
これは後半になっても変わらない。選手の技量は、フランスの方が上だ。
フランスの猛攻に耐えている姿に、ノルマンディー上陸作戦で連合軍の猛烈な艦砲射撃と爆撃に耐えるドイツ軍の姿が重なった。
試合の終盤になると、防戦一方の試合展開と暑さのせいで、西ドイツの選手の顔に疲労の色が見えてくる。
その表情は、大戦末期の連合軍の攻勢の前に敗走を続けるドイツ軍兵士のようだった。
もう駄目だ、フランスが同点に追いつくのは、時間の問題だ、、、と弱気になっていた試合終了直前、奇跡が起きた。
西ドイツゴール前でフランスのクロスをカットすると、西ドイツがカウンターで逆襲。
最後は、前に出ていたフランスのGKの頭上を超えるボールを上げて、GKをかわし、無人のゴールにボールを叩き込んだ!!
フランスの猛攻に耐え続けた西ドイツが試合終了直前の起死回生のカウンターで追加点を挙げ、2-0でフランスを破った。
そして、フランスを破って決勝に進出した西ドイツは、決勝でマラドーナ率いるアルゼンチンと対戦。
この西ドイツとアルゼンチンの決勝戦は俺にとって複雑だった。
西ドイツに勝って欲しいが、マラドーナの活躍も見たいというジレンマ。
日本と同盟を結んでいたドイツ(西ドイツ)の勝利を見たいが、小学生の頃、マラドーナスーパーというサッカーシューズをはいていたことでマラドーナに親近感があり、また、イングランド戦の5人抜きを見てマラドーナのスーパープレーを見たいとの気持ちもあり、どちらを応援したらいいのか複雑だった。
この決勝戦は、西ドイツが、0-2からルンメニゲのゴールなどで2-2に追いつく健闘を見せたが、最後に決勝点を奪われ、2-3で敗れ、優勝はならなかった。
この決勝戦は、早朝に起きて見る予定だったが、寝坊して後半だけしか見られなかった。
しかし、0-2からの西ドイツの逆襲とルンメニゲのゴールを見られたことには感動した。
大会を通して不調だったルンメニゲだが、最後の試合でゴールを決め、有終の美を飾った。
また、0-2でもあきらめず、同点に追いついた西ドイツは、世界中に対して、伝統のゲルマン魂を見せたと思う。
最後は、タレントがそろうアルゼンチンに敗れたが、メキシコ大会での西ドイツの健闘には光るものがあったし、勇気ももらった。
1986年の西ドイツは、器用で華麗なチームではなかったし、優勝候補でもなかった。
しかし、劣勢になってもあきらめずに戦い抜き、実力で上回るフランスを準決勝で破り、マラドーナ率いるアルゼンチンに対しても0-2から2-2に追いつく健闘を見せ、堂々の準優勝。
ワールドカップは、国と国の威信を賭けた戦い、武器を使わない国と国の戦争だとも言われるが、メキシコ大会の西ドイツ代表は、祖国ドイツのため、持てる力を出し切って戦った。
あきらめずに戦うその姿には、当時も感動したが、その気持ちは今でも変わらない。
また、メキシコ大会は、マラドーナの5人抜きなど、サッカーには心を揺さぶるスーパープレーがあるスポーツだということを改めて世界に示した大会でもあった。
サッカーという競技自体が持つ熱、そして、国を代表して戦う舞台であるから、サッカーのワールドカップは世界中を熱狂させる。
我らが日本代表も、世界で一番競技人口が多く、そして国と国の総力を挙げて戦うサッカーワールドカップという舞台で、いつの日か、世界に日本の存在感を示してほしい。
さて、今日の深夜にフランス代表と戦うドイツ代表であるが、選手の中でインフルエンザが蔓延しているようだ。
これが事実なら、試合にも影響が出るかもしれない。
ドイツにとっては、28年前のメキシコワールドカップでフランスと対戦した時と同様の厳しい試合になるかもしれないが、伝統のゲルマン魂で最後まであきらめずに戦ってほしい。
ドイツ代表の健闘を祈る。

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